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第24回日本食品微生物学会(岡山)報告
           平成15.10.23

 
 岡山駅のすぐ近くの岡山ママカリフォーラムが会場であった。

  * ママカリ : 魚のママカリ(サッパ)のことらしい。コノシロに似た魚で瀬戸内でたくさん取れるようだ。酢漬けがみやげ物店に多数販売されていた。



1 
SRSV関係

 SRSVについては今後ノロウイルスと称することとなった。

(1)SRSV感染者における糞便中へのウイルス排泄期間(福岡市保健環境研究所)
 2つの食中毒(
A,B ,CD,E)5名の感染者の追跡を行った。

 

A

B

C

D

E

最初のコピー数(菌数)

8

8

7乗

9乗

9乗

検出限界(10コピー)以下

19日目

12日目

19日目

陰性

17日目

23日目

確認できず(24日目でも5乗)

確認できず(22日目でも5乗)

Q&Aなぜ排出期間に差があるのか

 A:宿主側の要因、SRSVの感染性の差が考えられる。

 

(2)東京都におけるSRSV食中毒の発生状況

 533事例についてウイルス検索を行った。323事例よりSRSVを検出した。ほかにA型肝炎ウイルス2、A群ロタウイルス2、アデノウイルス41型1事例であった。小学校2校でバターロールによるSRSV事件があった。パンからは検出できなかったが患者と従業員由来のSRSVの遺伝子の塩基配列が完全に一致し、バターロールが原因食品と特定した。

Q&A 健康保菌者はどうか?

 A:不顕性患者もかなりいると考えられる。普段よりその対策が必要。

 

(3)2002/2003シーズンに三重県で検出されたノロウイルスの解析

 乳幼児における感染症発生動向調査からのノロウイルス、ヒト-ヒト感染が疑われた食中毒由来のノロウイルス、定点観測のカキ由来のノロウイルスのそれぞれの遺伝子型に関連性は低かった。乳幼児由来でなく不顕性患者や高齢者患者の腸管で増殖したノロウイルスが本感染症の動向を握っているかもしれない。

Q&A なぜカキと感染症動向調査の関連がなかったのか。三重県内だけでなく出荷の多い愛知県との情報交換は?

 A:よく分からない。下痢症については土着性のものと考えるのが普通。

 

2 サルモネラ

(1)過去20年間に市販鶏肉より分離されたサルモネラの血清型‥…(東京都…)

Q&A最近4年間では特にサルモネラ・インファンティスが多いとのことだが由来は何か? 

A:ブロイラーは1ヶ月で出荷される。やはり飼料由来と考えている。

 

3 腸炎ビブリオ

(1)腸炎ビブリオ感染症:アジアで重要な海産物由来のビブリオ感染症

 1996年から新型クローン(OK6型腸炎ビブリオ)による世界的大流行が起こっている。タイ国ハジャイ市の市中病院で調査したところ317症例のうち76.7%が新型クローンによるものであった。

ベトナムのナチャン市では523症例のうち49%が新型クローンによるものであった。

(2)東北地方の腸ビ動向

 ここ1,2年新型クローン(O3K6)の食中毒が減った。

(3)国内の海産物の調査研究と腸炎ビブリオ対策(国立医薬品食品衛生研究所)

 生食用鮮魚介類の保存温度は最初4℃で設定したが実用面から10℃とした。海岸では水が使いにくいので海水の使用となる。しかし天然海水にはTDH陽性のビブリオが多い。滅菌海水の使用とした。国のビブリオ対策により中毒が減ったと見ることができる。

Q&A MPN3本法で100gはピッタリこない中途半端な設定ではないか。MPNという検査方法と規制値100に整合性がない。検査屋としては非常に悩む規制方法だ。100倍希釈で規制値100なら分かるが。理解しがたい。生カキのE.coli230でピッタリであるのに。

AMPNが一般的にやりやすい。基準値を64128にあわせようとは考えてはいない。100gで規制すればビブリオのTDH陽性の確率は従来の無制限に比べ25%となり食中毒の発生を大きく抑えることができると考えている。

(4)腸炎ビブリオのゲノム解析

 全ゲノム解析が終わった。

Q&A 原因食品からはTDH:神奈川現象(−)ばかり、患者からはTDH(+)ばかりなぜか?

 A:患者腸管に定着するのはTDH(+)だけで(−)は速やかに通過してしまう.

Q&A 1シャーレから何個拾えばTDH(+)が出てくるのですか?100個ぐらいですか?

 A:むやみやたらやらずに、PCRTDH陽性のものを50個から時には10002500個ひろってそこから23個出てきたりする。

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