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△△△食監物語
SRSV事件だがや            h12.5.31

1 はじめに
1 社員20人が吐いたり下痢で休んでます
 12月クリスマスも近い金曜日、保健所に、A産業の寮から一本の電話が入った。 「うちの社員20人が、吐いたり下痢して休んでいます。どうもB社の配達弁当のせいらしい。」はなから20人というのはこれはなかなかの事件だぞ、と覚悟を決めた私であった。
  A産業の寮に聞き取り調査に行き、「何故配達弁当が原因だと思われるんですか?社員の皆さんは、朝と夜は寮の食堂で同じ給食を食べているのにそちらは大丈夫ですか?」と尋ねてみた。
 担当部長は、「社外出張グループと社内グループがあり、社外出張グループだけが配達弁当を食べており、そのグループだけがおかしいんです。」と説明された。発症は昼過ぎから夕方にかけて多かった。吐気があり嘔吐し、下痢も伴なった。嘔吐がある食中毒とすると、原因菌は黄色ブドウ球菌か、セレウスのどちらかだろうな、しかし下痢が多いのが気になるな、まさかSRSVウイルスではないだろうな。
 配達弁当屋さんの調査に行った。ふきとり検査を行い、保存食などを検査用に確 保し、配達先を控えた。
 何軒か弁当の配達先に行ってみると、どこでも嘔吐下痢で苦しんでいた。「いつから調子が悪くなったのですか?」と一人に聞いてみた。「きのうの昼4時ごろから、むかむかしてきた。はらがくだって、仕事がやってられんくなって、帰ってきた。それから吐いた。吐いたのは、まだごみ箱ん中に残っているはずだ。」とのことだった。吐物は検査に回した。検便をお願いし、容器を渡した。
 衛生研究所には、念のためSRSVウイルスも検査するように依頼したが、何とまさかのSRSVウイルスだけが検出された。下痢は強いし、発症のピークがだらだらと長いので何か変だと思ってはいたが、、、、
 SRSVウイルスによる食中毒は、食べてから発症までの潜伏期間は一般的には30時間程度だ。とすると原因の食事は当日の弁当ではなくって、前日の弁当だがや。まっかい弁当屋さんの聞き取り調査のやり直しだがや。
                          *まっかい:もう一回
 
2 どこから来たの?SRSVウイルス
  SRSVといえば生カキを連想するのが食監の連想ゲームの基本の基であるがどこにも生カキは見当たらない。原材料に付着していて広まったのか、それとも、調理人も発症しているので、調理人から弁当に汚染が広がったのかも知れない。検便と、吐物からSRSVは検出されたが、食材や弁当残品からは全く検出されず、結局どこからSRSVが来たのか、不明であった。
 このSRSVが一旦腸にひそむとなかなかきれいさっぱりと取れず、いつまでも検便で検出される。一例では8日後も検出、17日後では消滅。もう一例では、2日後、9日後、16日後、24日後も検出、32日後にやっと消滅。巣くっている限りその便から手に、手から包丁、食材、おかず、弁当へと汚染は広がっていくのだ。

3 きほんのき
(1)SRSVウイルス(Small Round Structured Virus 小さく丸い形をしたウイルス )は、カリシウイルスの一種で、食品に付着しても増菌しない。その後、ヒトの腸管細胞に取りついて、爆発的に増え、嘔吐、下痢をひき起こす。その糞便は、ヒトからヒトへの直接感染や、川に流れ込んでカキなど二枚貝に取り込まれる。そしてそのカキなどを食べた人が感染して嘔吐、下痢の被害にあって、、、、、という連鎖が続く。
(2)SRSVはヒト−ヒト直接感染と、食品を介するものと両方がある。幼稚園・保育園や養護老人ホームなどでは、ヒトヒト感染が見られる。これは、発症者の便や吐物の衛生的な処理の難しさによるものである。この場合、新患者の発生状況を時間を追って調べてみると、小さい山が1つ2つ3つと、だらだらと1週間から10日間続くことが多い。
 一方、食品を介する場合は、一気に患者が発生し、1〜2日間の一山で終了、その食事だけが原因だったことが分かる。今回は一山だった。
(3)ヒト−ヒト感染の防止方法は、念には念を入れた手洗いがまず第一である。SRSVは次亜塩素酸ソ−ダなどの殺菌剤にかなり強く、また、5分は煮沸しないと消えないのだから。
(4)材料はしっかり加熱すること、しかし生カキはそのまま酢ガキにして食べたいよなあ。でも覚悟の上で。

4 おしみゃあに
 弁当を150人が食べて、45人の食中毒患者が発生したんだわなも。弁当屋さんは3日間の営業停止になってまった。基本の基はやっぱり手洗いだわなも。(生カキと生レバーは、この世で一っちゃんやばいんだわなも。当たる時は当たるんよ。提供する方も食う方も、覚悟してちょうよ。)


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