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インターネットで貴志清一(C氏)
「下唇の活用〜正しい吹き方の奏者は名人の音に近づける」
尺八吹奏研究会ホームページの会報は示唆に富んだ説明が数多くありますが、その会報No162号において貴志清一(C氏)が次のように述べています。
この下唇の活用は“尺八を正しい吹き方を身につけている奏者のみ”試してください。
正しい吹き方ができていないと返って混乱し、スランプに陥るのが関の山です。
さて、正しい尺八の吹き方はおよそ以下の通りです。
・まっすぐな息が出せる。
・けっして喉が“うーうー”鳴らない。
・音の末尾がきれいに消せる。
・上唇裏の口腔前庭が吹くときにできている。
・下歯が息の流れを邪魔していない。
だいたいこの5つのことが出来ていると確認ができれば以下のことをお試しください。
1.一音(たとえば甲ロ)を出します。
2.音が出たら、ほんの少し下唇を前に出し気味にします。
3.そして、下唇は大体そのままにする気持ちであご(顎)を手前下にゆっくり引いていきます。(実際は下唇も顎に少しついていく)
ちょうど、下唇が上唇をこする感じです。
これだけのことです。しかし、これは言葉では極めて伝えにくいものなのです。
もし私のするようにこれができれば、あごを手前にゆっくり引いていくと同時に急に艶のある「良く鳴る」音色が出るはずです。ご自分でも驚くほど良く鳴り、まるで名人の音に近づいた感覚が得られるのではないでしょうか。
良い響きの尺八の専門家の方は、「そんなこと、当たり前。わたしはいつもそのように吹いています。」と思うかも知れませんが、何とかいい音を出したい、しかし出ない尺八愛好家にとってはこの方法は有効ではないかと自負しています。
乙ロなどでは、同じことを唇をひねるようにして実現している人もいます。またこの方法を 故二代目河野玉水師は「口を絞る」と表現されていました。
唇を「ひねる、絞る」は少し回転運動的な要素が感じられます。わたくしの方法は上下的な感じです。いずれにしましても、していることはほとんど同じで、音に艶が出て良い響きになることは同じです。
この文をお読みになられた方は自分なりの方法でも良いと思います。
物理的には、息がより長く唇の間を通り、その気流をきれいに整流させることでしょう。
以前尺八吹奏研究会のHP148号の「ゴールウェイの動画がこういう風に参考になります」(2007/12/01)というのは正しくこのことを言っています。
(http://jp.youtube.com/watch?v=NcXRzZZv1mE)
ただし、穴の小さな、唇が自由になるフルートではゴールウェイの映像のようにできるのですが、尺八はフルートの台座まで自分で作る必要がありますのでそのまま応用するわけにはいきません。
尺八では、始めに述べたように、「音が出たら、ほんの少し下唇を前に出し気味にし、下唇は大体そのままにする気持ちであご(顎)を手前下にゆっくり引いていき、ちょうど、下唇が上唇をこする感じで音をだす」となると思います。
もし、実際のやり方のアドバイス希望でしたら、丁度良い機会ですので上記のワンポイント稽古をご活用ください。 |
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