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(2)甲の音が出ません


 尺八を習い始めて第一関門が、音を鳴らすことです。鳴れば次には甲音を鳴らしたいということとなります。甲音は乙音と唇の締め方が変わります。
(1)唇の形
 前項の「尺八の音が鳴りません(4)唇の形」で説明したように、音が鳴らない場合は 「唇を少し横に引きましょう。口角を上げる動作の途中かのように、横に引きましょう。頬の内側を少しかむようにするといい感じになります。」と記載しましたが、甲音も全く同じです。
(2)唇を絞る 甲音の場合は、唇を横に引いてもまだ唇がゆるすぎる場合があります。その時は、酸っぱいレモンを食べた時のように口元をギュッと絞ってみましょう。唇を横に引きながら、酢ッパーと絞るとゆるみ過ぎた唇がよい形になります。これで甲音にも対応できるはずです。唇を絞り過ぎて、息の出口がなくなってしまってはよくありませんが。
 普通に絞れば、練習をしていけば甲のロツレチまでは何とか出るはずですが、甲ハピシ大甲レとなると骨が折れます。唇を絞ったはずが、息がブリ、ブリブリッと唇の横から漏れてしまうのです。そうなんです、極めて高い音は息に高い圧力をかけるため、よっぽどうまく口を絞り込まないと、唇やほっぺが息の圧力に負けて息が漏れてしまうのです。当然音も鳴りません、腹に力を入れて吹きこむと同時に、唇もしっかり絞りましょう。
(3)息に圧力を加える
 甲音は、唇を絞ることによって音を出すのが基本ですが、息の圧力も大切です。腹筋に力を入れて息を送り出しましょう。なお、高い圧力を落とす場所は口先・唇だけです。決して喉の奥や舌と上あごの間を狭くしてしまったりして圧力を落とさないようにしましょう。(これは「開く吹き方」で息出しの基本です。)
 高い圧力が分からない場合は、ほっぺをふくらませて、指でつついてみましょう。尺八を吹いている時はほっぺはしぼんでいるのでつつけないのですが、尺八を持たずに唇を閉じて、ほっぺを思い切りふくらませます。そこでほっぺをつついてみるとブヨンブヨンとへこむようでは全く圧力不足です。圧力をかけ固くなったほっぺは5ミリか1cmくらいしかへこみません。無理に押すと唇からブッブリッと息漏れがします。((2)の説明と同じブッブリッです。)この圧力が甲音には必要になります。圧力に対応して唇をうまく絞りましょう。
(4)尻ドン吹き どうしても甲音が出ない場合は、「尻ドン吹き」を試してみるとよいかもしれません。
椅子に腰かけて吹くのですが、吹く前にお尻を10cmほど浮かせて、お尻をドンとおろした時にプーッと吹くわけです。息に勢いが付き圧力も高まります。甲音が出るはずです。(舞台の演奏者を見ていると、大きな音が欲しいときにたまにやっていますよ。目に見えないほどわずかに腰を上げて尺八も振り下ろしてドンと勢い良く吹いています。)