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(3)半音が鳴りません


 尺八を習い始めて第一関門が、音を鳴らすことです。次が甲音を鳴らすこと。更にその次が半音(または大メリとも言う)への挑戦です。半音を正しく吹くにはポイントにぴったりと弱い息を注ぐ必要があります。ハ(ハの半音)やチ(チの半音)は比較的やさしいのですが、ツ(ツの半音)となるとお手上げが普通です。そのお手上げの甲ツの練習をしてみましょう。
 ハ(ハの半音)はドレミではシの半音下がりの音です。チ(チの半音)はドレミではラの半音下がりの音です。ツ(ツ半音)はドレミではミの半音下がりの音です。マイナーな音ですがいろんな曲を完成させるには必要な音たちです。

ツの半音の練習は2段階で行いましょう。第1段階はメる練習。第2段階が第1孔の押さえです。(これは達人C氏のDVDでの説明の流用です。)
(1)沈る(メル)
 まず全音のツでメル練習をします。
 メルというのはあごをぐっと引いて、顔の面を10度ほど下方に向ける感じです。慣れてくればメッたり戻したりリズミカルにできるように練習します。全音のツの指使いのままメると音がぐっと下がります。メったり戻したりして、音の下がる感じを習得しましょう。
 ツの全音でメることができるようになれば次の(2)の指使いをすれば、ツ(ツの半音)の音が出ます。息はそっと少量出しましょう。
(2)指使い
 ツ(ツ半音)の指はすべてを押さえてから1の指の孔をわずかに開ける、ということとなりますが、わずかはわずかでもごくわずかとなります。指をぐっと第一孔に、ねじりこむ感じでぐっと抑え込み、すき間を少し残す、そんな感じです。
 ハ(ハの半音)やチ(チの半音)の場合はねじりこまなくても十分音は下がります。
 音の調整は図の矢印のようにふさぐ指と穴との境目の点を意識し、ツ半音の音の高さを調整します。境目を意識するのはハやチなどすべての半音に通じます。
 この説明は2章尺八の吹き方の解説本「はじめての尺八」を流用しています。
 


(3)息の量
 ツの場合、息の量は五分の一くらいまでぐっと減らしましょう。息の量が多いと正しい音にならず高くなりがちです。チやハの場合は半分ぐらいの息の量でしょうか。
(4)唇の大きさと吹きこむ位置
 図のように唇から出る息の量が少ないので唇は小さくなります。息を注ぎ込む位置は、全音の時の中央部分ではなく、下半分を切り落とした部分のような位置となります。息の目指すのは歌口ですのでそういう位置となります。

(4)息の方向

息の方向は歌口より常に前方の角度ですので、メリでうつむいた分やや上に吹き込む感じとなります。息の角度を変えないと、もしくは吹きこむ位置を上方にしないとごく小さい音しかなりません。または音自体が鳴りません。
(4)チューナーを見る

 正しい半音を獲得するにはチューナーを見るしかありません。3章の(8)チューナーを常時ONにしておく、での説明のように、いつも譜面台にチューナーをセットして音を見える化して練習することによって正しい半音が獲得できます。正しい半音を出してこそ尺八音は音楽となるのです。尺八を音楽の世界で楽しみましょう。