尺八ワンポイント 本文へジャンプ


(6C)開く吹き方 その3 パクパク吹き)

パクパク吹き
 この吹き方は、達人B氏の教えです。:正しい構え方(アンブシュ)が身につきます。ある音、例えばハを吹こうとする。そして、笛に下あご(下唇)を当てたまま、口(上唇)を大きく開け、パクッと口を閉じてハの音を出す。息を吹きだそうとせず自然に任せるだけで、口を閉じた勢いでハの音が出る。パクパクパクと1秒おきに何度も繰り返す。すべての音がこれで、自然に出るようになれば、いつでもどこでもパッと笛を構えればパッと音が出るようになる。尺八の基本はこれに尽きると考える人もいるそうです。

 開いて吹くのその2の頁の「馬面吹き」とこの「パクパク吹き」を比べてみましょう。違うようで目的はかなり似ています。馬面吹きでは、口腔前庭を作ることに主眼を置いていましたが、パクパクでは同様に、大きく口を開けた時に、舌が下あごに置きやられるため、口をすぼめても、だんだんと舌が上あごに近づきにくくなっていきます。そのため何度もパクパクとやっているうちに口腔前庭が広く出来上がっていくのです。開いて吹けるというわけです。
 パクパク吹きはほかにもいい所があり、いろいろな音が常に開いて吹けるようになっていきます。ちじこまっていた音がおおらかなのびのびとした音になっていきます。
 上級者のパクパク吹きは小さい音もごくスムーズですが、でかい音は本当にでかい音で、耳をふさぎたくなるくらいの音で一秒くらいの刻みでパクパクと練習をされています。

息の吸い方:息は口でスポッと吸う。鼻で吸うのは無理。パクパク吹きのように上唇をバッと開けてバーンと吸いましょう。

譜面台を目一杯上げて練習:前に音が響くようになる。うつむいて吹いては音が響かない。顔をがーっと前に向けて音を前に出そう。あごを上げることで、舌が邪魔することなく、口腔前庭が広くなった状態で吹けます。

大声を出すように吹こう:ハァーッ!と何回も大声を張り上げる。歌手が大勢の観客の隅々まで声を届かせようと腹の奥底から声を湧き立たせるように。そのような体の動き、流れ、力の入れ方、息の出し方でハの音を吹こう。乙のハより甲のハの方が響く。壁の向こうに、2階席3階席まで音が響き渡るように吹こう。