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(6b)開く吹き方 その2 馬面吹きとカエル面吹き)

 尺八の吹き方で、馬面吹きとカエル面吹きの2種類があると思います。
 【馬面吹きの図-外見】        【カエル面吹き-外見】


    【口の中-馬面】           【口の中-カエル面】

 カエル吹きのやり方は、通常の吹き方です。唇を横に引くとカエルのような顔になります。ほっぺをかむようにすればさらにいい形のカエル顔の唇となります。
 馬面吹きのやり方は、少し唇を突き出しながら唇を横に引くわけです。唇を突き出すか突き出さないかの差です。
 馬面吹きとカエル吹きの何が違うのでしょうか。これは、舌の位置が変わります。
 舌は、口の中で適当に存在しているのですが、尺八を吹く時は長い息が欲しいので、舌は勝手に上あごすれすれに行って、肺からの息を早く絞ろうとします。それでは困るのです。息の絞りは唇だけですべて完結させなければ、音の強弱がつけにくいのです。舌で先に息が絞られていると、大きい音を出すべく大量の息を出そうとすると、まず舌を上あごから遠ざけると同時に唇を広げるという二つの作業をする必要が出てきます。
 その点、馬面吹きにすると、どういうわけか勝手に舌が上あごから遠く離れて下あご近くで行儀良くなるのです。馬面吹きだとろうそくの灯を消すようにフーフーと素直で自然な息が出てきます。ところがカエル面吹きではシーシーに近い、濁った息が出てきてしまいます。
 この舌の位置による空間を達人C氏(本ホームページ 達人C氏の教えの章参考)は「口腔前庭」という表現で述べられています。(たぶん)
 カエル面より馬面吹きにした方が開いて吹きやすいのです。勿論カエル面で見事に演奏される方も見えますが、舌の位置を見事にコントロールされているからだと思います。
 口笛を吹く時、低音は馬面になり、高音では舌が上あごにくっついていきます。尺八を吹く時は、口笛を低音で吹く時の舌の形が適当で「口腔前庭」も広く取れます。ただ口笛では、唇は丸くしてしまうので尺八の唇とは違います。尺八の唇は横長です。
 なお馬面吹きは鼻の下が長くなり老け顔になります、若い方や女性はカエル吹きにして、舌の位置に十分注意される方がよいのかも、、、?
(※ 尺八初心者では、口笛を吹くと唇の先が丸くなるため、尺八の音が突然出なくなることがありますのでご注意。)