尺八各論 本文へジャンプ


(1)尺八の構え方


 笛の構えのアドレスチェック法を図に示した。ゴルフのスイング前のアドレスチェックと同様、演奏する時、正確なあごの位置となるまで、笛の左右のぶれがないか、回転していないかなどなど微調整を行う。吹く前のアドレスチェックが重要であるし、演奏中も音に違和感を感じたらにアドレスチェックをすることですばやく修正する。

唇に対して①上や下にずれていないか、②右や左にずれていないか、③右回転や左回転していないか、  

 顔の中心に対し④右や左に振れていないか。⑤仰角は20度〜40度のいつもの角度か。

①〜Dのうち一つでもずれると吹いた息が歌口に正確に当たらないため、息漏れの音がシューシュー出てしまって、吹くほうも苦しいし、聞いていても息苦しくなってしまう。

 ⑤の仰角が上がりすぎるとメリ吹き状態となり、唇から歌口までの距離が近くなり、音は出やすいが、全体の音が低くなってしまうこととなる。メル余裕も失われていく。反対に、仰角が20度以下となると、カリ吹き状態となり、唇から歌口までの距離が遠くなり、吹き出した息が、歌口に届く前にどこか違う方向に行ってしまい、音が鳴りにくくなるし、息の効率も悪くなり、息も絶え絶えの演奏なってしまう。非常に聞き苦しい状態である。

 ①から⑤までぴったりとアドレスを決め、吹きだした息を効率よくすべて音に変えることができれば、風息の音もないなめらかな音の響きの音となり、息も少量で済みます。


 練習中にあご当たりがずれて、音が鳴りにくくなった、音がまったくならなくなったということがよくあります。そんな場合には、次の図のように、笛を水平に持ち上げて、唇の中央の線と歌口の線を軽く接触させて合わせ、笛を下に下げるとあご当たりの初期化ができます。このあたりに音がちゃんと鳴る場所があるはずです

 尺八を初めて吹く方も、この図のように、あご当たりの初期化をすれば音が鳴ります。お試しください。
 なお、達人の教えなど(4)の項でも説明しましたが、管尻を少し持ち上げて、唇の合せ目と歌口のラインを合せ、自然な角度の構えに戻す、という方法の方がもっと簡単にできます。
 達人C氏の解説やフルート教本の説明にあるようにいくらアドレスを正確にしても不十分であり、音の高低や息の強さに応じて最終の微調整はアゴの動きを伴った唇の動きで行うこととなる。一音一音、一音の中でも始まり→途中→終わりで唇やアゴは微妙に動き、息の方向も適切に動くこととなる。(たぶん)