尺八各論 本文へジャンプ


(8)チューナーを常にONにする

尺八の音は音程がぶれやすいので、常にチェックしながら練習することが必要です。
 私はいつもチューナーを譜面台に固定してちらちら見ながら吹いています。私は音感が普通なのか不十分なのか、全音はまだしも、半音は音がたいていずれてしまいます。
(7)で述べたように尺八の音は唇を笛でちょっと押し気味にするだけ、引き気味にするだけで音が下がったり上がったりしてしまいます。指穴を閉じたり開けたりする指の動きだけで、ちょっと力が入るだけで音の高さがぶれてしまいます。常にチェックしましょう。下図のチューナーは最新版で、チューナー機能と同時にメトロノーム機能も付いていて非常に便利です。

 私のチューナーはYAMAHAの四角いものです。10年くらい前で4,000円くらいでした。音は440Hzを基準として1Hzずつ前後できるようになっています。通常442Hzで使用しています。ギター専用のものは4音程度しか音を検出しないようですが、このYAMAHAのはA,B,C,D,E,F,Gおよびその♭(フラット)を検出し表示します
音の高さに応じて針が振れ、それぞれの音にぴったりなら中央に緑のランプ、低かったり高かったりすると左や右に赤のランプがつきます。ま、通常のチューナーです。
 固定具はついていませんので、チューナーを譜面台に固定するための固定用具の設計図を紹介しましょう。(単位はcmです)
 ○必要な材料:15cm角の黒いアルミ板、黒いビニールテープ
 ○工具:丈夫なはさみまたは金のこ、ペンチ


アルミ製で黒くコーティングされた150mm×150mm 厚み0.5mm程度の薄い板がカーマホームセンターなどで売っています。HIKARI AR151 Cアルミ板ブラック150カク \500円くらい、というのが私が購入したものです。
その黒いアルミ板を図のようにカットします。丈夫なはさみ(または金のこ)を使用します。谷折りの部分はペンチでほぼ直角に折り曲げます(少しアールをつけたほうが丸っこくて見栄えがよいと思います。)谷折り(重ねる)の部分(0.2cm巾)は折り重ねて二重にします。カット面やとがった部分は怪我をしやすいので黒いビニールテープでカバーしておきます。Aの部分をダブルクリップ2個で譜面台の下部に取り付けます。0.2mmの折り重ねた部分が引っかかり、外れにくくなります。Bの部分にチューナーをおきます。チューナーの表面が見やすいように、A面とB面の角度を調節します。これで完成です。
 練習中はちらちらと見て音の確認をしましょう。
 半音の確認、ピやヒの音の確認、リの音の確認。耳がずれた音のほうで納得してしまうというか、違和感が説得力をもって耳に入ってきてしまいます。正しい音が素直すぎて間違っているように聞こえてしまいます。
 私は、自宅練習中も、仲間との練習中も、琴との音あわせ中も、発表会の舞台の上でもいつも譜面台に取り付けています。譜面台もこの器具も真っ黒なので目立ちません。達人A氏はもっと小さくて譜面に隠れるようなものなら欲しいなあというコメントでした。やはり達人としては音を確認しながら演奏しているのは人に見せたくないということなのでしょうか。




 音合わせをする琴方からは評判はいいようです。琴方からは常に音のずれを指摘されているので、努力が肝心ね、というようなまなざしです。
 全音でも、甲のチは高くなってしまうことがよくあります。たまに確認しましょう。合奏練習中に自分の音が前に出すぎるときはたいてい音が高くなっています。乙のヒや甲のチ、ピ、ヒ、半音ッ、チ、ハなどは特に注意しましょう。気持ちよく甲チーっと出していると音が高いことが多いのです。音を大きくする場合、カリ気味にしてしまう癖がついているようです。息の量が増えて音は大きくなりますが、音が高くなります。出過ぎない音がたいてい正しい音です。大きな音を出すべく、下唇を少し引き気味にして唇を十分あけ、息の量を十分増やし準備万端ならばいいのですが・・・。
 ピの音の出し方は、ハーピーハーピーと練習します。ピは裏孔をほんの少しだけ開けてほかの孔はすべてふさぎ、甲ハの唇の形で息の通り道をふさがないようにそのまままっすぐ下唇を笛に押し付けて音を下げます。(笛を押し上げます。ほぼそのまままっすぐカらずメらず、が大事です。)甲ハピともに音の高さはチューナーで確認しましょう。息の量は多くなるよう十分練習しましょう。詳しくはまた別の項(ワンポイント)で。