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(4−c)アンブシュール(唇の形)ーあご使いで息の方向を自在にー

以下は実験段階のものです。誰もがうまくいくとは限りませんのでご注意。
 皆様も感じていらっしゃると思いますが、例えばレでいい音が鳴った、よし、この唇の形で行けばほかの音もいい音のはずだ、と意気込んで吹いても、何か芯に来ない芯をはずした音になってしまうのではないでしょうか。そうなんです。音によって唇の形は変える必要があるのです。というか唇の形を少し変えて息の出る方向を変える必要があるのです。音によってぴったりした息の方向があるのです。
 音の高さと息の方向とにはおおよそ次の表のような関係があります。
  乙ロ  ツ  チ  ハ  ヒ  甲ロ   ツ  レ  チ  ハ  ピ  タ
 息の方向 底穴 1孔 2孔 3孔 4孔  4孔上  底穴 1孔  2孔  3孔  4孔
4孔上 4孔上 
 レでいい音が鳴ったら、チでは1孔分上に息を吹くといい音が鳴り、レからツに移る時は反対に1孔分下に息を吹くといい音が鳴るというあんばいです。息がそのような方向になるように下あごを動かします。
 乙ハは4孔に吹き込み、次の甲ロでは底穴に吹き込むというのは落差が激しすぎるようですが、こんな感じくらい息の方向を変える必要があるので下あごを大きく引くこととなります。。
 この表は、決して厳密なものではありません。ごくごく大雑把なものです。ただ、音と息の方向の関係は理解できるものと思います。隣の音に移るのは角度として5度程度、下あごの動きとしては1ミリ以下だと思います。前項で述べた唇のフースリスリーフーの練習を、唇がすり切れるくらいやると、下あごを前後に動かすのに慣れてきて少しずつ動くようになってきます。
 さて、乙と甲では息の方向が同じでこれでいいのかという問題です。
これは下図のようになります。

 

 図Aは乙の時の息の巾で、図Bは甲の時の息の巾です。このように甲では乙に比べ管に入る息の幅を半分くらいに絞ることが必要です。甲では息の圧力を上げて歌口の裏から管内の前面の壁にそって吹き込むようにする必要があります。乙ではもっとゆったりと広く吹けばよいのです。息の方向は乙も甲も同じです。上の唇の位置はほとんど変わりません。

 口輪筋と咬筋をうまく使って、適度に緩んだ乙の吹き出し口、適度に絞った甲の吹き出し口を作りましょう。
 あごの実際の動かし方はいかがでしたか。演奏のキモの部分でもあり、もしかして秘伝かも、、、、、、。 
 続いて音は丸く出してからふくらませる、の項です。下唇がさらに動き、つやのある音が出ます。

 以上は実験段階のものですので上達を保障するものではありませんし、スランプに陥る可能性もあります。(おわび)