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(4−b)アンブシュール(唇の形)ーあご使いで唇こすり

以下の解説は、私が1年ほど前から始めた実験段階のものです。私はうまくいっていますが、誰もがうまくいくとは限りません。詳しい方のコメントがいただけたら助かります
 ここでは本格的なあごの使い方について説明します。これはすでに達人C氏の項やフルートの教則本の項でも触れていますが、もう少し丁寧に解説していきます。(なお、達人C氏が、混乱してスランプに陥ってしまうなどと忠告しているように、尺八が一定上達してから試みられたほうが良いとも思います。)
 
 メロディーを吹く時にいろいろな音を次から次へと吹く時、同じアンブシュール(唇の形)では笛はちっとも響いてくれません。音に応じて息の方向や圧力を七変化させることが必要です。中でも下あごを使って下唇を動かし息の方向を自在にあやつることが最も重要になります。
 ただし動かす距離は通常1ミリ以下、最大でほんの2〜3ミリ程度のごく微妙なものですが。

 
 下あごを使ってアンブシュール(唇の形)を自在に整えるためには、下あごを前後に動かす練習が必要となります。下あごは日常生活では物を咬む時に使うため、上下運動は得意なのですが、前後はたいてい慣れていません。前後に動かすと顔が受け口状態となって少し見栄えが良くないということもあると思います。

  
 上の図Aのように、あごを普通の状態にしていると、上の歯は下の歯の前にあります。あごを使うためには、下あごを前後させて上の歯と下の歯を同じ位置まで持っていったり、さらに下あごを前へ持っていって図Bのように上の歯よりも下の歯が前に出るまで動かします。
(なお、図A,図Bのように歯が息の通り道を邪魔するようなことをしてはならないことです。図は分りやすいように歯が見えていますが、通常は唇の中に隠れて、息の通り道を空けています。)

 
 唇の使い方の項で述べましたが、上図のように唇に横長の息の吹き出し口を作り、その吹き出し口から口笛を吹くように
息を吹き出しながら、下あごをゆっくり前に持っていきます。下の歯は最初は上の歯の奥にありますが、だんだん上の歯の前に出て行きます。あごを動かした時に息の方向が変化するのがわかると思います。下あごを前に出すと息は前方(上方)に向き、下あごを戻すと息はやや下のほうに向かいます。
 息を吹き出しながらあごを前後させていると、まるで唇をこすっているようにも感じると思います。息の出ている中央部分はこすれませんが、唇の両側がゆっくりこすれているのがわかると思います。これが達人の項の達人C氏のおっしゃる“唇こすり”だと思います。
 何度も練習しましょう。笛を持っていなくてもできますので、空いた時間にフーーすりすりーー、フーーすりすりーー、フーーすりすりーーと練習しましょう。
 次の項では下あごの実際の活用法を説明します。
 以上は実験段階のものですので上達を保障するものではありません。(おわび)